私が考えるレポートとは、考えや思索や論理や分析結果などを文書化すること。それには必要に応じて、図表や数式、思索を深めるために用いた参考文献・引用文献があるだろう。拙書にも書いたが、レポートは情報を整理する役目と情報を伝える役目がある。大学におけるレポートとは、主に課題として評価を受ける宿命にある。

レポートの書き方の指南書の中では、実験系学部では、実験レポートのみをレポートとして扱う場合が多い。一方で、文化系学部では、感想文もあれば、随筆(エッセー)のようなものが含まれる場合がある。

私は、後者であって良いと思っている。突然、実験レポートのみが書けるわけではない。様々な課題様態を取るレポート(感想文、エッセー、実験)を作成する過程で学べば良いだろう。それが最後の卒論や学術論文へのステップとなれば良いと思う。この考えは、Y日記(矢原先生)に近い考え方だろう。Y日記(矢原先生)では、『これレポ(酒井先生)』のレポートのとらえ方が狭く、大学での1年生には『これレポ』は向かないというようなことが書かれている。一方で卒論に向けて読むには、この本は良い本であるということも述べている。酒井先生は、レポートをかなり限定した範囲で定義されているのだろう。



実際に「これレポ」を読んでみると、確かに、レポートとして適用範囲は狭い。Y日記では、この適用範囲が限定されていることが、この本自身で説明している内容(読者を想定すること)との自己矛盾を厳しく指摘している。厳しい、、、。論文以外の書物を、これほど批判的に読めるというのは、一流の研究者・学者であることの証でもあるだろう。

この本自体は、Y日記からの厳しい指摘はあるものの、学術レポートに適切な内容となっています。

研究者への足がかりとして、「これレポ」は良い本です。
また逆説的?に言うと、
研究者にならない人こそ、“科学的思考を文書化して整理する”というこのタイプの学術レポートのスタイルを学んで、大学を卒業していくべきでしょう。実験系や文化系学部にいずれの学部においても。

Y日記の記事に密かにリンクしておこう(リンクを張るのに許可はいらない、情報リテラシーの常識)。トラックバックして、読者が増えても反論に耐える力はないので、、、。

記事の投稿日にリンクしています。該当記事は探してください。
「これポ」は卒論向け、レポート執筆用にはミスマッチあり(Y日記)

学振の申請書を書いている人は「これポ」第3部を読もう(Y日記)

酒井聡樹先生のWebサイト
若手研究者のお経-- これから論文を書く若者のために--