学生と、人が死んでしまったことの意味を話しながら考えていた。

離れた大学の先生が、少し前に、在職中に交通事故で亡くなったことが、
考えるきっかけの一つの理由だった。

この先生は、学生時代に隣の研究室の先生であった。
しかし、対向車が中央線をはみ出して正面衝突してきて、亡くなられた。

東京での会議で、一度だけ大学教員になってからお会いしたが、
それ以外、まったく会うことも連絡することもなかった。
が、亡くなられた。

離れているため、これからも会うことなく、研究分野もまったく違うので、
お互いの人生は過ぎていったかもしれないけど、
離れていて生きておられて、まったく会わないことと、
亡くなられて、まったく会えないことの意味の違いはどこにあるのかと。

亡くなられても、生きている自分には相手は影響を及ぼす。
生きていれば、あんなこと言ってもらえたかも、とか。

でも、亡くなられた先生には自分は影響を及ぼすことはできない。
当たり前のことだけど、そう、思った。

これまでは会えなくても、双方が生きている限り双方向だったのが、
亡くなられると、一方通行になるということ。

自分が能動的に相手に働きかけることができないということ。